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Machida Hiroo

ライター&シナリオライター・町田広尾のサイトです

映画『君と100回目の恋』miwaが見せた女優としての新しい顔

映画

『君と100回目の恋』

映画『君と100回目の恋』には全編にわたり、miwaの魅力がぎっしりと詰まっている。

 miwaは本作で映画初主演。映画出演は『マエストロ!』(2015)以来、2度目となる。前作では天才フルート奏者の少女役で出演した。演技初挑戦にもかかわらず、関西弁とフルートをマスターする必要があったが、彼女は神奈川出身のため、関西弁はイチから覚えなければならず、フルートも未経験。役づくりにかなりの苦労があったはずだ。

『マエストロ!』は漫画原作だったが、本作はオリジナル脚本による映画化。脚本制作の途中でキャスティングが決まり、その後はmiwaをイメージして、あて書きをされたという。ヒロインの日向葵海(あおい)は、miwaのパブリックイメージと重なるような、仲間たちとバンド活動をする元気でハツラツとした女子大生だ。

本人と近い役柄で演じやすかったのではないかと思う。それでもクランクイン前は不安で仕方がなかったそうだが、撮影が始まってからは楽しんで挑むことができたという。その感じは映像にも現れていて、葵海という役を伸び伸びと演じているのが伝わってくる。

前作では、純粋な演技以外での苦労も多かったからだろうか、正直、まだまだぎこちない部分があったが、本作では一気に飛躍を遂げた。ラスト近く、坂口健太郎演じる陸に対し、葵海が感情をダイレクトにぶつけるシーンがある。そのときに見せたmiwaの集中力の高さについて、メガホンを取った月川翔監督が語る。

「撮影の日、miwaさんはものすごく役に入り込んでいてテストの一発目から感情が爆発して涙を流して——その時、正直「しまった!!」と思ったんです。こういう芝居は二度と出てこないかもしれないのに、テストだったのに、miwaさんをコントロールできなかった……と。でも僕の心配は無用で、何度テイクを重ねてもmiwaさんは同じ芝居をしてくれました。葵海が自分の手で陸を未来に進ませる、切ないけど美しいシーンになりました」 (映画パンフレットインタビューより)

月川監督は『黒崎くんの言いなりになんてならない』(2016)、ドラマ『ダメな私に恋してください』(2016)などで、胸キュン作品の腕を磨いてきた。監督がこだわったという胸キュンシーンの数々は、主演のmiwaと坂口を、限りなくかわいく、かっこ良く映し出す。

陸に葵海の後ろからネックレスを掛けて抱き締めるシーン、ライブハウスで葵海が「ずっと一緒にいようね!」と叫ぶシーン。男子なら、miwaのあの大きな瞳で見つめられたら、たまらないはずだ。図書館での脚立に乗ってのキスシーンは、そのあまりの美しさにmiwa&坂口ファンも、思わずヤキモチを焼くことも忘れてしまうだろう。

歌う表情が、いつもと違う

『君と100回目の恋』

本作は恋愛映画であると同時に、音楽映画でもある。miwaは全部で3曲の劇中歌・主題歌の制作を担当した。オープニングで演奏される『単純な感情』(作詞・作曲)。クライマックスのライブシーンで高らかに歌い上げられる『アイオクリ』(作詞。作曲はandropの内澤崇仁)。そして主題歌『君と100回目の恋』(作詞・作曲)だ。

miwaはこの3曲をアーティストmiwaではなく、役柄の日向葵海として、彼女ならどういう歌詞を書くか、どういう曲を書くか想像しながら制作したという。

観客は軽快なポップチューン『単純な感情』で一気に映画の世界に引き込まれ、『アイオクリ』で感情を最高潮まで持って行かれ、ラストには優しい歌声の『君と100回目の恋』で涙させられる。さすが、アリーナクラスの会場を満席にするアーティスト。音楽シーンは紛れもなく「本物」だ。

特筆すべきは、歌っている表情がいつものmiwaとは違うことだ。筆者はファーストアルバム『guitarissimo』のライブツアーの頃から彼女のステージを見続けているが、その表情はどこか違う。そう。アーティストmiwaではなく、確かに葵海として歌っているのである。普段から彼女のライブや音楽番組を観ている人であればきっと気づくはず。何が違うのかはぜひ劇場で確認していただくとして、ファンはそういう部分に注目して観てみても面白いだろう。(町田広尾) 

『君と100回目の恋』
監督:月川翔
出演:miwa/坂口健太郎/竜星涼/真野恵里菜/泉澤祐希
公式サイト:http://kimi100.com/
(c)2017「君と100回目の恋」製作委員会