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Machida Hiroo

ライター&シナリオライター・町田広尾のサイトです

蒔田彩珠の「なぜか気になる」存在感に惚れた『五年目のひとり』

ドラマ

『五年目のひとり』

素晴らしいドラマを観た。山田太一ドラマスペシャル『五年目のひとり』だ。

山田太一、82歳。まったく衰えぬ筆力に脱帽。いまだ現役ってことだけでなく、こんなに良いドラマを書かれると、下の世代のライターはたまったもんじゃないだろう。「いつ俺らの時代が来るんだ!」という叫びが聞こえそうだ。

東日本大震災から5年。孤独を抱えたままの男が、一人の少女と出会い、交流することで再生する物語。

主人公・木崎はたまたま訪れた中学校の文化祭で、ダンスパフォーマンスを披露するグループのなか、少女・亜美の姿に目を奪われる。そして思わず追いかけて行き、「君が一番キレイだった」と声をかける。普通に考えれば「アブナイおじさん」である。しかし、木崎には彼女に声をかけざるを得ない、ある理由があった。

「山田太一先生の作品には一も二もなく参加させていただく」

主人公の木崎は、震災で家族、親類を大勢亡くし、今でも心に深い傷を抱えている。山田は、これまでの多くの作品がそうであるように、本作でも「生きづらさ」を抱えた人間を丁寧に描く。

俳優陣も山田の脚本に全力で応える。木崎を演じるのは渡辺謙。「山田太一先生の作品には一も二もなく参加させていただくのが、ここ数年の私の通例となっています」(『五年目のひとり』公式ホームページ)とコメントし、深みと軽み、両方を絶妙なバランスで演じてみせる。

山田も「私が気がかりだったシーンも、謙さんがある意見を提案して乗り越えてくださいました。さすがだと敬服しました」と言うように、全幅の信頼を寄せている様子だ。

『五年目のひとり』

クラスの目立たない女子グループにいそうな女の子

注目すべきは、ヒロインの亜美を演じた蒔田彩珠(まきたあじゅ)。14歳の女優だ。以前、ドラマ『重版出来!』でゲスト出演していたときから、不思議な存在感で気にはなっていた。本作ではヒロイン、しかも「世界のケン・ワタナベ」とがっつり組み合っているわけだが、堂々とした演技を見せ、鮮烈な印象を放っている。

すごくカワイイとか美人とかという顔立ちではないが「なぜか気になる」タイプ。クラスの目立たない女子グループにいるのだけれど、思わず目で追ってしまうような。おとなしいけれど、芯は強そうな、なんともいえない存在感がある。

先輩には満島ひかり、安藤サクラ、門脇麦、岸井ゆきの

ユマニテ所属。満島ひかり、安藤サクラ、門脇麦、岸井ゆきのらが所属する芸能事務所だ。この顔ぶれから「なぜか気になる」タイプの女優を発掘する目利きがいると思われる。

公式プロフィールをのぞいてみると、是枝裕和が脚本・監督を務めたドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(2012)をはじめ、木皿泉脚本の『昨夜のカレー、明日のパン』(2013)、ドラマ『重版出来!』(2016)、『とと姉ちゃん』(2016)、映画『海よりもまだ深く』(2016)と順調にキャリアをのばしている。

ぼくはほとんどの作品を観ていたのにもかかわらず、『重版出来!』以外、その存在に気づいていなかった。不覚。『とと姉ちゃん』なんて毎日観ていたのに。彼女には土下座してお詫びしたい(機会があれば)。2017年にはNHKの新春スペシャルドラマ『富士ファミリー2017』にも出演するようで、さっそく要チェックである。

また現在、大塚製薬カロリーメイトのCMにも出演中。こちらも映るのは一瞬だけれど強い印象を残す。


カロリーメイトCM|「小さな栄養士 チョコレート」篇  15秒

 今後、彼女を目にする機会が増えていくだろう、と予想します。というわけでこれからの彼女に注目したい。(町田広尾)